白嶺桃源郷のブログ

いろいろ書いていきます

【ゆゆ式アドベントカレンダー2022 9日目】ゆゆ式がゆゆ式になるまでの奇跡

adventar.org

この記事はゆゆ式アドベントカレンダー2022の9日目の記事です。ほかの人の記事も見よう。見てください。ご覧ください。拝聴しろ。

きららファンタジアの話

kirarafantasia.com

青天の霹靂。

5年はソーシャルゲームとして長寿の部類ではある。それでもサービス当時から始めていた自分にとって、それが終わると言われたら動揺を禁じ得ない。サービス終了の知らせには普段遊んでいないユーザーからも反応があった。こういったコンテンツが一番盛り上がるのはサービス開始直後であり、その次に盛り上がる瞬間はサービス終了直前なのではないか。

サービスが終わるということは、誰もそのコンテンツが遊べなくなるということに他ならない。コンシューマーゲームであったならば自分が遊んでいなくとも、誰かが遊んでいるだろうという希望を持てた。もうエトワリアへのアクセスはできなくなる。誰もきららファンタジアをできなくなる。悲しみ。

いろいろ言っても覆らないことは分かっているのです。ありがとうきららファンタジア。ありがとう芳文社。ありがとうアニプレックス。ありがとうドリコムゆゆ式セラピーで気分をネガティブからポジティブに持っていくとしよう*1。きららファンタジアで遊んだことを忘れるまで忘れない。

さて、なんできららファンタジアの話をしたかというと、このアプリがゆゆ式に与えた影響がそれなりに大きいからである。野々原ゆずこはスクミズメガネネコミミせんしとなった。櫟井唯は絶対に自分で選ばない水着を着た。日向縁はモラトリアムと噛まずに言えるようになった。松本頼子は千矢*2のおかーさんになった。相川千穂はアヴァンギャルドになるとアホ唯ちゃんみたいになると分かった。岡野佳はボラのピザが好きだった。長谷川ふみはマフラーを手のように動かせた*3。そして、きららファンタジアカレンダーから松本頼子・相川千穂・岡野佳・長谷川ふみの誕生日が分かるようになり、主要な登場人物の誕生日を祝えるようになった。

このようにきららファンタジアからわかるゆゆ式のエピソードは多岐にわたる。その中でも一番大きい出来事を問われたら全ゆゆ式民のうち2京人は「ゆずこが唯と縁と初めて会ったときのエピソード」を挙げるだろうことは想像に難くない。

単行本10巻112ページ1コマ目より

というわけで今回はゆゆ式登場人物の馴れ初めについて語ってみる。長い前置きだった。

唯と縁

すべてはここから始まったと言ってもいい。世界は唯と縁が出会ってできたということは聖書ゆゆ式の中でも特に有名であり、ゆゆ式は知らないけどこのエピソードは知っているという人も多い。*4

単行本2巻104ページ2コマ目より

唯が縁のことを気になったのは、縁の家がお金持ちだったからである。みんなから一目置かれていたかは分からないが、少なくとも唯には一目置かれていた。そもそも一目置かないやついる?

alu.jp

縁の倍率が高杉晋作*5であることは想像に難くない。しかし最終的に縁は唯を選ぶ。そのきっかけは小学校2年生*6のある日の遠足であった。縁がクラスメイトに外国のお菓子を配っていたのを唯が見ていたところ、縁は唯の方に走ってきた。しかしそこで縁はこけてしまう。

単行本2巻105ページ4コマ目より

それを間近で見ていた唯は手に持っていたお菓子を渡す*7

単行本2巻105ページ7コマ目より

縁はいつも与える方だったが、唯からはもらう方だった。だから好きになった気がする。のちに縁はそう語った。

唯と縁 とゆずこ

唯と縁がゆずこに出会ったエピソードは10巻になるまで、もっと言うのであればきららファンタジアで明かされるまでは一切分かっていなかった*8

単行本10巻112ページ1コマ目より

原作のエピソードとしてもこれだけである*9。しかしこの少ない情報量からも分かることがある。意外なのはゆずこからではなく、さらに縁ではなく唯から話しかけてきたという部分だろうか*10。最初に興味を持ったのは縁で、それを唯と話して、最終的に唯がゆずこに話しかけたという流れだろうか。

忘れがちであるが、ゆずこは3人の中で一番頭がいい。縁が一目置くのも当然であろう。しかし、なぜゆずこだったのだろうか。

ゆずこは確かに頭はいいのだが、常識的な成績優秀者である。おそらく他にもっと頭のいい生徒もいただろう。だけど縁が興味を持ったのはゆずこだった。何か感じるものでもあったのだろうか。ゆずこに近付きたいとは前々から考えていて、話しかけるための最後の一押しが単にテストの点数だったというだけかもしれない。これらは憶測あるいは願望にすぎないが、今後語られる日が来るかもしれない。備えよう。

唯と千穂

千穂が唯を知ったのは高校の入学式である。

単行本2巻83ページ1コマ目より

少なくとも入学式では五十音順に並んでいたため、相川あいかわ千穂の次が櫟井いちい唯だった*11。もし千穂が相川でなかったら、あるいはもし唯が櫟井でなかったら、この2人は隣同士にならずに友人にならなかった可能性がある。

単行本2巻83ページ2コマ目より

さらに千穂が感じた唯の第一印象は「横顔が少し怖そう」というものであった。千穂が唯を気にかけたとしても、千穂の方から話しかけることは考えにくい。

千穂とゆずこ

人を第一印象で判断する千穂の癖*12は、ゆずこや縁に対しても発揮されている。

単行本2巻42ページ5コマ目より

少なくとも初期の千穂からは唯とだけ仲良くしたい、ゆずこや縁とはできれば距離を置きたいという意図が見て取れた。一人でいた唯に対して「一人?」と聞くのはその最たる例であろう*13。さらに言うなら後ろからゆずこと縁が現れたとき、千穂は逃げるように去っていった*14

単行本2巻58ページ8コマ目より

千穂はゆずこを偶然本屋で見かけたとき、つい隠れてしまっていた。さらにゆずこが千穂が好きな作家の本を見ていたとき、「ショックなような嬉しいような」という感想を抱いていた。そしてその直後にショックを受けた自身にショックを受けたのだった。

ゆずこの方も、千穂に気付いていながら話しかけるべきか悩んでいた。行動を起こした結果が実らなかったらと考えると確かに二の足を踏んでしまうもの無理はないだろう。相手が自分を苦手としていると知っているのであればなおさらその足はすくむ。

意外にも、その後二人は仲良くなっている。この後にどんなやり取りがあったかは語られていないが、何事もなく仲良くできたのであれば一安心である。かつて唯の方から話しかけた2人がこうして仲良くなるのは感慨深い。

佳と唯

佳は唯に対して明らかに敵意を向けていた。

単行本2巻112ページ3コマ目より

良くも悪くも素直な性格である佳は、お気に入りである千穂が気にかけている唯を気に入らなかったのだ。一言で言えば嫉妬である。

単行本3巻57ページ4コマ目より

ところがその敵意はあっさりと*15払拭されることになる。きっかけはコンビニでの会計中で佳の所持金が会計額を下回ったときだった。その佳に対し唯はあろうことか*16お札を渡してきた。遠慮しながらも受け取った佳はクラスに戻った後に唯がお金にうるさい人物*17と知り、唯が悪いやつでないと知ったのであった*18

これに関しては、ゆゆ式作中で仲良くなるまでのエピソードが詳しく描写されている。敵意を向ける人物と成長を感じるイベント。ゆゆ式にとっては両方とも珍しいものであったため、読者の印象に強く残っていることだろう。

千穂と佳とふみ

単行本7巻7ページ目

まず最初に佳が千穂に話しかけた。その後、佳とふみが仲良くなっていった。

単行本7巻8ページ目3コマ目より

何故佳が千穂に話しかけたかというと、「一番かわいかったから」とのことである。素直でかわいい。自分の方が真っ先に話しかけたはずの千穂がほかの人物になびくのは佳にとっても面白くなかったことであろう。しかし、千穂は佳から話しかけられる前である入学式のときから唯と話していたのだからアレである。

単行本7巻8ページ6コマ目より

そんな佳をふみは「かわいそう」と表現した。当時の佳を形容する最適な言葉だろう。そんなふみだが、佳に付き添うようにいつの間に千穂とも仲良くなっていったらしい。もしふみがいなかったら千穂と佳が仲良くなっていたかは分からない*19

奇跡

ゆゆ式の登場人物の出会いについては、生まれつきの地位や才能が大きくかかわっている。

もし仮に縁がお金持ちの家に生まれてこなければ、唯が縁に対して一目置くこともなかっただろう。もしゆずこの頭がよくなかったら、唯と縁がゆずこと話すきっかけがなくなってただろう。もし唯が縁と友人になっていなかったら、ゆずことも会っていなかっただろう*20。そうなればゆゆ式という物語は生まれなかったかもしれない。ゆゆ式という物語の裏側にはもはや何者か*21の存在を疑わざるを得ないほどの多くの奇跡があった。それらは奇跡と呼ぶにはあまりにも当然であり、当人たちはそれがどれだけ恵まれているかを知るよしもない。そしてそれは人の手でどうにかできるものでない、ある意味で残酷なものである。

しかし奇跡はそれだけではない。人が起こせない奇跡があるように、人が起こせる奇跡も聖書ゆゆ式は示してくれた。特に唯の行動は特筆に値する。登場人物が仲良くなるきっかけとなる出来事では、必ず唯の方から話しかけている。

遠足で転んだ縁に。

テストでいい点を取ったゆずこに。

入学式で不安だった千穂に。

財布を忘れて愉快な佳*22に。

唯の行動とそれが起こした奇跡は聖書ゆゆ式として未来永劫語られる。今でこそシャイな部分が目立つ唯であるが、初対面の人に対して物怖じしない勇敢さがなければゆゆ式ゆゆ式になることができなかった。人が起こせない数多の奇跡を積み重ねても、最後に決めるのは人である。人が起こせない奇跡が残酷でどうしようもないものであればあるほど、人が起こせる奇跡が尊く光り輝く。ゆゆ式を目指す我々が見習うべきは、奇跡を起こすことができる唯なのかもしれない*23

単行本12巻15ページ5コマ目より

願わくばすべてがゆゆ式にならんことを。

*1:意味が分からない人は https://www.youtube.com/watch?v=TDxkTJ87VC0 を参照。

*2:うらら迷路帖』の登場人物。

*3:そのせいでゆゆ式を知らない人から「この子手がないんだよね……」と誤解されることがあったらしい。まあゆゆ式を知らない人はいないので嘘なのですが。

*4:まあゆゆ式を知らない人はいないので嘘ですが。

*5:高杉 晋作(たかすぎ しんさく、天保10年8月20日1839年9月27日〉- 慶應3年4月14日〈1867年5月17日〉)は、日本の政治家。幕末長州藩尊王攘夷志士として活躍。奇兵隊など諸隊を創設し、長州藩を倒幕運動に方向付けた。

*6:このころの唯は当時と髪の色が違うのでもしかしたら今の髪は染めているのかもしれない。ゆずこもピンク色だし。

*7:は? 尊い…😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭

*8:2018年10月10日にきららファンタジアのメインシナリオ第一部第7章が公開され、そのエピソード中で語られた。まんがタイムきらら本誌で明かされたのはその直後のことである。

*9:きららファンタジアの方でも似たようなセリフ1つだけで特に深掘りとかはされていなかったため割愛。

*10:あくまでゆずこが言ってるだけであるが、この発言の誤りは縁に対する無礼を意味するため信憑性は高い。

*11:アニメではその後に宇田奈七、岡野佳と続く。

*12:千穂に限らない気はする。

*13:関係ないけどこのころの千穂は髪に取っ手がなかったらしい。

*14:もっとも、ゆずこと縁がちょっかいをかけようとして駆け足気味に迫ってきたのだから逃げるのも無理はない。

*15:1年のころは払拭されなかったため、案外あっさりではないかも。

*16:唯は佳からの敵意に気付いていないというのもあるが。

*17:ゆずこと縁はこの「お金にうるさい」というキャラを気に入っているため、唯が積極的にそういう振る舞いをしているだけであって、決してケチなわけではない。たぶん。

*18:その後唯に対して、千穂の胸を1回だけ触っていいと約束する。その後本当に触ったかについては描写がないため不明。わっふるわっふる。

*19:千穂が消極的、佳が積極的であったため、もしかしたらそりが合わずに仲良くなれなかった可能性が否定しきれない。

*20:そうなったら唯と千穂はもっと早く仲良くなってたかもしれない。

*21:つまり神。具体的に言うと三上小又

*22:財布を忘れてはいない。

*23:人が起こせない奇跡がそもそも起きていない気もするが。